犬歯と八重歯の違いってなに?放置する危険性や治療方法を紹介

犬歯と八重歯は、まったく異なるものです。今回は両者の違いについて解説しています。また、八重歯になってしまう原因や八重歯の治療方法についてもあわせてご紹介しています。

    【監修】

  • 歯科医院名:緑のテラス歯科クリニック
  • 歯科医師名:院長 丸山啓介先生
  • サイトURL:https://midori-terrace.com/

犬歯と八重歯は似たようなイメージがありますが、実際には定義がまったく異なるものです。今回は、両者の違いについて解説します。

また、八重歯を放置すると、やがてリスクを抱えることになります。犬歯と八重歯の区別がついていると、治療方法もスムーズに頭へ入りやすいはずです。今回は、放置するリスクや治療方法も解説していますので、八重歯の治療をお考えの方もぜひ最後までご覧ください。

犬歯と八重歯はなにが違うの?

犬歯や八重歯と聞くと「尖った歯」という認識を持ちがちです。しかし、お互いの定義はまったく異なるものです。

今回は、犬歯と八重歯の違いについて解説します。両者をしっかり区別できていなければ、今後治療する際に混乱してしまうでしょう。両者の意味が混ざらないよう、各定義をしっかり把握しましょう。

八重歯は歯並びの状態を指す言葉

八重歯は歯そのものを表す言葉ではなく、歯並びの状態を表す言葉です。具体的には、八重歯とは本来の歯並びの外側に、ほかの歯と重なって生えてしまった歯のことを指します。そのため「犬歯=八重歯」というわけではありません。

ただし、犬歯自体が八重歯として生えることはよくあります。ゆえに、犬歯が八重歯となる場合が多く、犬歯と八重歯を同じものだと捉えてしまう傾向があるのです。

犬歯が八重歯になる原因には個人差があり、考えられる要素はさまざまです。原因はのちほど解説するので、そちらもぜひご覧ください。

話のなかで犬歯と八重歯が同時に出てくると、最初はややこしく聞こえるかもしれません。八重歯は、あくまでも歯並びの状態を表す言葉であると念頭に置いておきましょう。

犬歯は歯の名称

犬歯は、前歯から3番目の位置に生える尖った歯のことです。別名「糸切り歯」とも呼ばれ、先端が鋭いため、咀嚼をする際に重要な役割を果たしています。

また、犬歯は根がほかの歯よりも長く頑丈です。そのため、下顎の位置を決める際の重要なポイントにもなっており、ほかの歯を支える大事な役割を果たしています。

ほかにも、犬歯は「犬歯誘導」という役割も持っています。犬歯誘導とは、上下の歯を噛み合わせる際に左右へずらすと犬歯のみが噛み合い、上下の奥歯にわずかなすき間ができることです。

奥歯は上下の力には強いですが、左右の力にはあまり強くありません。左右に力が加わったときは、犬歯がその力を受け止めます。犬歯誘導のように、犬歯は歯全体のなかでも率先して力を受け止める大事な役割を担っているのです。

犬歯誘導は、歯の嚙み合わせが安定している証拠です。犬歯が嚙み合わなくなると、奥歯に力が集中します。その結果、奥歯に虫歯や歯の割れ、顎関節症などを引き起こす可能性が生じてきます。

犬歯が八重歯になる原因

犬歯が八重歯になる原因は、先天的要素と後天的要素の2つに分けられます。八重歯には遺伝的要素や生活習慣などが影響しているため、親からの遺伝やいままでの生活などに心当たりがないかを思い出しながらご覧ください。

先天的要素

先天的要素が影響して犬歯が八重歯になるパターンは、主に5つあります。

1点目は、顎が小さい場合です。もともと顎が小さいと犬歯のスペースがなく、八重歯になりやすいです。歯同士が押し合ってしまい、犬歯が本来の歯並びとは外れて八重歯になるイメージを想像すると分かりやすいでしょう。

2点目は、過剰歯である場合です。歯が本来よりも多く生える「過剰歯」である場合も、犬歯のスペースがないために、犬歯が八重歯になるという流れで起こりやすいです。

過剰歯も遺伝に影響されるといわれています。親や祖父母が過剰歯である場合、子どもも過剰歯になる確率は高くなります。

3点目は、歯自体が大きい場合です。歯の大きさも、遺伝が影響しているといわれています。歯が大きい場合もスペースが足りないために、犬歯が八重歯になる可能性があります。

4点目は、性別です。性別であれば、女性の方が歯の成長・生え変わりのスピードが速いといわれています。小学校高学年〜中学生くらいの間に上顎の犬歯が生えるのが一般的ですが、この時期は顎が未発達な状態であるため、犬歯が八重歯になりやすいです。

5点目は、歯が生え変わるタイミングです。前述したとおり、犬歯は歯のなかでも生え変わるタイミングが遅いため、犬歯が生え変わるタイミングではほかの歯がすでに生え変わっており、犬歯のスペースがない場合があります。1点目の顎が小さい場合と状況が組み合わさっていると、なおさら犬歯が八重歯になりやすいでしょう。

後天的要素

犬歯が八重歯になる後天的要素となるのは、顎の成長や虫歯です。顎の成長には食べものが大きく関係しており、やわらかいものばかり食べていると噛む力が育たずに、顎の成長が遅れてしまいます。そのため、顎が小さくなり、犬歯が八重歯になる可能性が生じてきます。

ほかに顎の成長に影響を与える要素としては、十分な睡眠や適度な運動などの基本的な生活習慣です。睡眠では成長ホルモンを分泌させ、適度な運動では骨への刺激を与えることで、顎の成長につながります。

また、虫歯が原因で乳歯を先に抜いてしまうと生じてくるのが、ほかの歯の移動です。犬歯が生えるタイミングですでにほかの歯がそのスペースに生えていると、犬歯が八重歯になります。

八重歯がかわいいと言われている理由は?

日本では八重歯に関して「かわいい」という印象を持つ傾向があります。近年では「付け八重歯」という口のなかを装飾する商品まで出ているほどです。

しかし、海外での八重歯の反応は日本とは真逆であり、八重歯の有無が就職や結婚にまで影響する国があるほどです。今回は、日本ではどうして八重歯がかわいいといわれるのか、海外での反応まで含めて解説します。

ギャップがあるから

大人っぽい顔つきの人でも口を開いた際に八重歯が見えると、その未完成さにギャップを感じるでしょう。そのギャップが魅力的に見え、かわいいといわれる理由になります。

また、八重歯があると、顔が少し幼く見えます。八重歯によって本来の見た目に幼いまたは若い印象がプラスされるため、かわいいといわれるのでしょう。日本で八重歯がチャームポイントになり得る理由には、ギャップが関係しているのかもしれません。

特徴的で印象に残るから

目鼻立ちがはっきりしている顔つきの方は、八重歯がかわいいという印象を持たれる傾向にあります。はっきりした顔つきの方は、八重歯がきちんと印象として残りやすいためです。

たとえば、八重歯が特徴的なアイドルの方を見ると、八重歯がチャームポイントだと感じるはずです。人によっては、その八重歯を持つ美しい顔に憧れを抱く方もいらっしゃるでしょう。目や鼻などのほかのパーツがきれいであれば、八重歯もプラス要素となり得るのです。

また、八重歯が好印象に残る理由としては、顎の大きさも関係しています。口元がシャープですっきりしている方は八重歯が強調されて見えるため、口元のきれいさと相まって八重歯が魅力的に映ります。

海外での印象はよくない

日本では好印象を持たれがちな八重歯ですが、海外ではむしろ悪い印象を持たれます。海外では、八重歯がある人は悪魔やドラキュラなどと関連づけられます。就職に関しては、歯並びのよさを管理職になる条件と定めている会社も存在するほどです。

海外がこれだけ歯並びを重視する理由のひとつとしては、歯が不ぞろいであると「歯を矯正するお金がない」といった経済的余裕のなさを印象づけられるためです。そのため、歯並びが悪いと結婚にも悪影響が出る場合があります。

海外に住んでいる子どもの歯並びが悪い場合は、しっかり矯正させ、就職や結婚で不利にならないように、親の義務として歯の治療が行われています。

八重歯を放置するとどうなる?

海外では八重歯が好印象にならない理由を聞いて、驚いた方もいらっしゃるかもしれません。また、医学的に見ても、八重歯を放置するのは危険です。

今回は、八重歯を放置することで引き起こるリスクを3つご紹介します。どのリスクも抱えなくて済むように、八重歯がある方は放置せずに治療を検討しましょう。

口内炎のリスク

八重歯はほかの歯と隣り合わせではないためすり減ることが少なく、ほかの歯よりも尖っている場合が多いです。その場合生じるのが、咀嚼時や会話の際に口のなかを傷つけてしまう可能性です。

傷を放置しているとやがて細菌が侵入し、口内炎ができてしまいます。口内炎と八重歯が接触しているとなかなか治りにくく、完治しても再発する場合があります。

とくに犬歯が八重歯の場合は、犬歯自体が尖っているため、口の中を切って傷つけてしまう可能性が高いです。そのため、犬歯が八重歯の場合は口内炎のリスクがより上がるでしょう。

知覚過敏のリスク

歯の欠陥が生じると、知覚過敏を引き起こすリスクをともないます。犬歯が八重歯として存在している場合、歯の欠陥が起こりやすくなり、最終的には知覚過敏へつながる可能性があります。

具体的に関係しているのは、前述した「犬歯誘導」です。犬歯が八重歯として存在する場合、犬歯が噛み合わないため、奥歯が横の力を負担することになります。

奥歯は上下の力には強いですが、横の力には弱いです。そのため、犬歯誘導が生じないと最終的には奥歯の歯割れにつながってしまいます。

このように、八重歯はほかの歯に負担を強いる場合があり、その負担で生じた歯の欠陥が知覚過敏を引き起こします。また知覚過敏以外にも、八重歯はほかの歯を傷つけやすく、歯の寿命を短くしてしまう要因にもなり、口内トラブルを引き起こす温床となっているのです。

口臭のリスク

八重歯があると、口を閉じづらくなります。口が開いた状態だと、慢性的な口呼吸によって口のなかが乾燥します。

乾燥によって引き起こってしまうのは、細菌の繁殖や唾液分泌の減少です。やがて細菌の繁殖や唾液分泌の減少は、口臭の原因へつながります。

また、口臭のリスクを引き起こすもうひとつの大きな要因は、口のなかの汚れです。八重歯があると歯磨きがしづらくなり、汚れがたまりやすくなります。そのため、日ごろから入念なデンタルケアが必要になります。

八重歯の治療方法

八重歯の治療方法は、大きく分けて2つあります。価格や治療期間などに違いがあるため、どちらの治療方法が自分に合っているかを考えながらご覧ください。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正には、以下の3種類があります。

歯の表面に金具を装着する表側矯正
白にコーティングした金具を歯の表面に装着する白色矯正
歯の裏側に金具を装着する裏側矯正

料金は、一番高額なのが裏側矯正で100〜170万円、一番低額なのが表側矯正で60〜150万円ほどかかります。どのワイヤー矯正でも、治療期間として1〜3年ほどの時間を要します。

ワイヤー矯正は細かい調整が利くため、歯が大きい方や歯並びが大きく乱れている方でも対応可能です。マウスピース矯正のように自分で取り外す必要もないため、自己管理が少なくて済みます。

ただし、口周りを傷つけるリスクがあり、痛みや違和感を抱く方もいらっしゃるでしょう。また、単純に食事がしづらいというデメリットもあります。

マウスピース矯正

透明のマウスピースを装着する方法です。透明なため、ワイヤー矯正より器具が目立たないという大きなメリットがあります。

また、価格帯は10〜130万ほどと幅広いですが、基本的にはワイヤー矯正よりも安く済むことが多いです。治療期間もワイヤー矯正に比べて短く、1〜2年ほどで治療できます。そのため、価格や治療期間も考えると、マウスピース矯正のメリットは大きいでしょう。

ただし、装着時間は20〜22時間以上と定められており、飲食時は取り外しが必要、約1週間ごとにマウスピースを交換するなどの決まりがいくつかあります。そのため、自己管理がある程度必要です。

ほかにも、クロスバイトや左右非対称などの症例次第では、マウスピース矯正が適応できない場合もあります。口に関してなにか症例を抱えている方は、マウスピース矯正で治療できるかどうか、事前に確認しておきましょう。

矯正治療を検討しているものの、費用がネックで始めにくいとお悩みの方は少なくありません。こちらの記事では、歯科矯正にかかる費用をさらに詳しく解説しています。

まとめ

今回は、犬歯と八重歯の違いについて解説しました。犬歯は歯の名称であり、八重歯は歯並びの状態を表す言葉です。犬歯が八重歯になりやすいため両者をイコールで考えがちですが、今回を機に、両者の違いをご理解いただけたのではないでしょうか。

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