マウスピースの洗浄方法!正しい洗い方と注意点
正しいマウスピースの洗浄方法を知ることで、マウスピースを長持ちさせられるだけでなく、口内環境を健康的に保つことにもつながります。今回は、マウスピースの洗浄方法について解説するほか、洗浄時に気をつけるべき点などについて解説します。
- 歯科医院名:緑のテラス歯科クリニック
- 歯科医師名:院長 丸山啓介先生
- サイトURL:https://midori-terrace.com/
マウスピース矯正を検討しているけれど、どのような方法で洗浄すればよいのかわからない方もいるのではないでしょうか。歯並びを直しつつ歯を健康的に保つためには、毎日の洗浄が欠かせません。
洗浄を怠るとマウスピースが劣化するだけでなく、口内環境が悪くなってしまうといったリスクに見舞われてしまいます。安全にマウスピース矯正を行うためにも、正しい洗浄方法を知ることが大切です。
今回は、マウスピースの正しい洗浄方法について詳しく解説します。また、洗浄時の注意点やマウスピース洗浄剤の選び方なども解説していますので、マウスピースの洗浄方法に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
マウスピースの洗浄は必要なの?
歯に装着して歯並びの矯正を目指すマウスピース矯正ですが、マウスピースの洗浄は必要なのか疑問に思う方もいるでしょう。ここでは、マウスピース洗浄の必要性について虫歯や歯周病、口臭の面から解説します。
むし歯・歯周病になりやすくなるから
マウスピースを使用した歯列矯正では、マウスピースを清潔に保つことが虫歯や歯周病の予防において大切です。マウスピースを清潔にしないまま装着し続けると、細菌が歯や歯ぐきに長時間接触することとなり、虫歯や歯周病になるリスクが高くなってしまいます。
マウスピース矯正は、1日20時間以上の装着が必要です。そのため、歯が長時間マウスピースで覆われた状態となり、唾液による自浄作用が得られにくくなってしまいます。
また、マウスピースと歯の間に食べかすなどが入り込むと、歯が汚染された状態で長時間過ごすことになり、虫歯が発生しやすくなります。
虫歯や歯周病を防ぐためには、マウスピースを使用したら必ず洗浄し、歯磨きをして口の中を清潔に保つことが大切です。万が一虫歯や歯周病が発生した場合、矯正を一時中断しなければならないため、予防が何より肝心なのです。
口臭につながるから
マウスピースでの矯正中は、口臭の発生に注意が必要です。口臭が発生する原因は、主に以下のようなものが挙げられます。
マウスピースの洗浄不足
強い力でマウスピースを洗う
歯磨きをしない
口の中が乾燥する
マウスピースを装着した状態で喫煙する
マウスピースは1日に20〜22時間装着するため、洗浄を怠ると細菌が付着したままとなり、臭いの発生原因となってしまいます。また、マウスピースはポリエチレンやポリウレタンなどのプラスチック素材で作られており、強い力で洗うと傷がついてしまい細菌が入り込みやすくなるでしょう。
歯磨きをしないままマウスピースを装着することも、口臭の原因に挙げられます。歯を磨かないままでは歯とマウスピースの間に食べ物が残ったままとなり、細菌の繁殖につながりかねません。
そのほか、口の中が乾燥した場合やマウスピースを装着したままの喫煙も口臭の原因になることから、毎日の歯磨きとマウスピースの洗浄は欠かさないようにしましょう。
マウスピースの正しい洗い方
マウスピースを清潔に保つには、毎日の洗浄が欠かせません。ここでは、マウスピースの正しい洗い方を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
1. 使用後すぐに洗浄を開始する
マウスピースを使用した後は、できるだけ早めに洗浄しましょう。マウスピースに付着した汚れを放置するとカビや細菌の増殖、口臭の発生などを引き起こします。
マウスピースを装着している間は唾液の分泌量が減少し、口腔内の自浄作用が低下するため、口臭のリスクが高まります。口臭は単なる不快感だけでなく、口腔内の環境悪化や病気を発症する可能性もあるのです。
また、十分に洗浄されていない場合、食べかすや飲み物の色素がマウスピースに付着し、マウスピースへの着色や変色へとつながってしまいます。マウスピースの機能性と審美性を維持するためには、定期的かつ丁寧な洗浄が欠かせません。
適切なケアを怠ってしまうと、矯正治療の効果も半減してしまいます。マウスピースの汚れを確実に取り除き、口内環境を衛生的に保ちながら矯正治療を進めましょう。
2. ぬるま湯で洗い流す
マウスピースを使った後は、40℃前後のぬるま湯を使って口腔内の汚れや唾液、食べかすを優しく洗い流しましょう。強い力で擦る、熱湯を使用するなどは、マウスピースが変形するおそれがあるため厳禁です。
マウスピースを洗う際は柔らかめの歯ブラシを選び、軽く擦るようにしてマウスピースの表面や内側の汚れを除去します。隅々まで丁寧に清掃し、清潔に保つことが重要です。
3. 石鹸やマウスピース専用の洗浄剤を使用する
マウスピース専用の洗浄剤を使うと、より効果的に洗浄できます。マウスピースを洗浄剤に浸して汚れの除去と除菌を行い、使用後は十分にすすぎます。
歯磨き粉は研磨剤が入っていることが多く、マウスピースを傷つけるおそれがあるため避けましょう。熱湯での洗浄もマウスピースが変形して歯に装着できなくなる可能性があるので、ぬるま湯を使用しましょう。
除菌効果のある洗浄剤はマウスピースの臭い対策に利用できますが、材質によって合わないものもあるので注意が必要です。とくに、入れ歯用の洗浄剤には漂白剤が含まれているケースもあり、マウスピースの素材を痛める可能性があります。
洗浄剤は歯科医院で推奨されているものを選び、つけ置きタイプを使用する場合は浸す時間を守るようにしましょう。
4. よくすすぐ
洗浄剤や石鹸を使ってマウスピースを洗浄した後は、流水やぬるま湯で十分にすすぎましょう。洗浄後のすすぎを疎かにすると洗浄剤や歯磨き粉の成分が口内に残ってしまい、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
水道水ですすぐ場合は新鮮な水を使い、隅々まで確実に洗い流すことが大切です。
5. 十分に乾かす
マウスピースを洗浄した後は、しっかりと乾燥させることが大切です。生乾きの状態で放置すると細菌の増殖につながってしまいます。
乾燥させる際は、保管用ケースにティッシュを敷いた後にマウスピースを置き、フタを開けた状態で乾燥させるとよいでしょう。ケースを使わずに放置すると不衛生になるだけでなく、マウスピースの紛失や破損の原因にもなります。
専用の乾燥用ケースや、風通しのよい場所で乾かす方法も効果的です。湿気の少ない場所を選ぶことで、衛生面を保ちつつ乾燥を進められるでしょう。
マウスピース洗浄時の注意点
マウスピースを洗浄する際は、以下の点に注意が必要です。
熱いお湯は使用しない
やわらかめの歯ブラシを使用する
研磨剤の入った歯磨き粉は使用しない
マウスピース用の洗浄剤を使用する
マウスピースの劣化によっては、新品を作り直さなければならない場合もあります。できるだけ長期間利用できるよう、以下の解説を参考にしましょう。
熱いお湯は使用しない
マウスピースを洗浄する際は、熱湯の使用は避けましょう。60度以上のお湯で洗浄するとプラスチック製であるマウスピースが変形してしまい、歯にフィットしなくなる可能性があります。
変形してしまうと再度マウスピースを作成しなければならないため、治療期間が延びてしまうほか、追加料金を支払わなければならないといったケースに見舞われます。基本的にマウスピースは患者の歯並びに合わせて設計しているため、その形状を守ることが重要です。
マウスピースが変形したまま装着すると、不快感や痛みが増すだけでなく、歯への密着度が下がってしまい十分な効果が得られません。
マウスピースを手入れする際は、40℃前後のぬるま湯や常温の水を使うとよいでしょう。洗面器などに水かぬるま湯を張り、その中で軽く揉み洗いすることで十分に洗浄できます。正しい洗浄を心掛けて、マウスピースを大切に使っていきましょう。
やわらかめの歯ブラシを使用する
マウスピースを歯ブラシで洗浄する際、歯ブラシの硬さに気をつける必要があります。硬めのブラシを使うと、マウスピース表面に傷が付きやすく、そこに細菌やプラークが蓄積して虫歯や口臭の原因になるからです。マウスピースを傷つけないよう、ソフトタイプの歯ブラシを選ぶのがおすすめです。
洗浄の仕方にも気をつける必要があり、力任せにゴシゴシ磨くのはNGです。マウスピースを優しくかつ隅々まで丁寧にブラッシングすることを心がけましょう。また、専用のマウスピースブラシを使えば、より効果的に洗浄できるでしょう。
研磨剤の入った歯磨き粉は使用しない
マウスピースを洗浄する際は、歯磨き粉の使用は控えましょう。歯磨き粉に含まれる研磨剤によってマウスピースの表面を傷つけ、そこに汚れや細菌が溜まることで、口臭や口内炎、変色の原因となるからです。
マウスピースはプラスチック製のため、天然の歯ほど丈夫ではなく、研磨剤の刺激に強くありません。汚れを落とすには、歯磨き粉ではなく指や柔らかい歯ブラシの使用が適しています。
頑固な汚れに対しては、マウスピース専用の洗浄液を使いましょう。洗浄液ならマウスピースを傷つけることなくしっかりと洗浄できます。マウスピースを長持ちさせるためにも、正しい方法で洗浄することが大切です。
マウスピース用の洗浄剤を使用する
マウスピースの洗浄には、専用の洗浄剤がおすすめです。後述するつけ置きタイプや泡タイプなど、使いやすいものを選ぶとよいでしょう。ただし、入れ歯用の洗浄剤は洗浄力が強いものがあり、マウスピースの強度の低下や白濁のリスクがあるため使用は避けましょう。
洗浄剤を使用する際は、パッケージに記載されている推奨時間を守ることが重要です。製品によって5分以上や約30分など、推奨時間にバラつきがあるため使用する前に必ず確認しましょう。
歯科医院が特定の入れ歯用洗浄剤を推奨している場合は、歯科医との相談のうえ使用することが大切です。専門家のアドバイスに従いながらマウスピースを洗浄しましょう。
マウスピース洗浄剤の選び方
マウスピース洗浄剤にはさまざまな種類があり、製品によって特徴や効果が異なります。ここでは、マウスピース洗浄剤を選ぶ際のポイントについて解説します。
洗浄剤のタイプで選ぶ
マウスピース洗浄剤には主に「つけ置きタイプ」と「泡・スプレータイプ」の2種類があります。以下でそれぞれの特徴について解説しますので、どちらが自分に適しているタイプか見ていきましょう。
つけ置きタイプ
「つけ置きタイプ」の洗浄剤は、容器を置くスペースさえあれば、ご家庭での使用に最適です。40~50℃のお湯か水に錠剤を溶かし、マウスピースを浸けるだけで簡単に洗浄できます。
つけ置き時間は製品によって異なりますが、通常は5~15分程度です。汚れが頑固な場合は、少し長めに浸けるのがおすすめです。つけ置き後は洗浄剤が残らないように手でやさしく洗い流すことで臭いや汚れを落とすことができ、清潔な状態でマウスピースを使用できます。
泡・スプレータイプ
「泡・スプレータイプ」の洗浄剤は、自宅だけでなく外出先でもポケットやバッグに入れて持ち運べるので非常に便利です。また、容器が不要なのでマウスピースにそのまま吹きかけるだけで洗浄できる点も特徴のひとつです。
マウスピースに直接スプレーし、指で軽くこすれば数分程度で汚れが落ちて清潔な状態になります。忙しい朝や職場でのお手入れに最適です。
一方で、つけ置きタイプと比較すると洗浄力はやや劣ります。隅々まで洗浄液が行き渡らないこともあるため、より徹底的にきれいにしたい場合はつけ置きタイプとの併用がおすすめです。
洗浄・除菌効果が高いものを選ぶ
マウスピース洗浄剤の効果は、商品によって異なります。毎日使うものだからこそ、高い効果を発揮する製品を選ぶことが大切です。
黄ばみや色のついた頑固な汚れには、「漂白活性化剤」配合の洗浄剤が最適です。この成分のおかげで、短時間でしっかりと漂白できます。
除菌効果を重視する場合は、「99.9%除菌」をうたう製品を選びましょう。食べかすなどのタンパク質汚れには、「酵素」入りの洗浄剤が非常に効果的です。酵素の力でタンパク質を分解し、しつこい汚れも落とせます。
使用しているマウスピースの汚れ具合や、重視したい効果を考えたうえで最適な洗浄剤を選ぶことが重要です。
洗浄時間で選ぶ
マウスピース洗浄剤を選ぶ際は、洗浄時間にも注目することが大切です。毎日の習慣として続けるためにも、どのくらい手間や時間がかかるのか調べることも重要です。
泡・スプレータイプの多くは、1~5分程度で洗浄できるタイプが多く、外出先で手軽に使いたい場面に適しています。一方のつけ置きタイプは、5~30分程度かかるものがほとんどです。5分程度で効果を発揮する商品もありますが、頑固な汚れを除去するには、通常よりも長めに浸けるのがポイントです。
マウスピース洗浄剤を選ぶ際は、汚れの状態や使用状況に合わせて臨機応変に対応できる洗浄剤を選ぶようにしましょう。
マウスピース洗浄剤を家にあるもので代用する方法
マウスピースが手元にない場合、以下のようなもので代用が可能です。
食器用洗剤(中性洗剤)
重曹
ホワイトビネガー(醸造酢)
カスティールソープ
ここでは、上記のもので代用する際の方法について解説しますので、マウスピース洗浄剤を自作したいと考えている方は参考にしてください。
食器用洗剤(中性洗剤)
マウスピースを取り外した後は、常温の流水下で指の腹を使って優しく洗浄します。熱湯は装置の変形を引き起こす可能性があるため、避けましょう。
頑固な汚れが付着している場合は、食器用洗剤の使用もおすすめです。食器用洗剤は殺菌効果が高く、マウスピースのお手入れに最適です。購入する際は研磨剤の入っていないものを選び、毎日の洗浄に活用しましょう。
ブラシを使う場合は、柔らかい毛先のものを選び、食器用洗剤をつけて優しく擦り洗いをすると清潔な状態を保てます。
重曹
重曹を使ったマウスピース洗浄法には、ペースト状にして磨く方法と、水に溶かしてつけ置きする方法の2つがあります。
ペースト状にする方法では、重曹と水を1:1の割合で混ぜ、歯磨き粉のように歯ブラシで磨きます。力を入れずにマウスピースを磨き、重曹を十分に洗い流すよう注意しましょう。
つけ置き洗いの場合は、コップ1杯の水に重曹大さじ1~2杯を入れて溶かし、マウスピースを20~30分間浸けた後しっかりと洗い流します。
重曹には汚れを中和・分解する働きがありますが、洗浄力が不十分に感じる場合は、クエン酸を加えることをおすすめします。200mlの水に重曹大さじ2杯とクエン酸大さじ1杯を混ぜ、泡立ったらマウスピースを30分ほどつけ置きします。最後に流水で洗い流せば完了です。
ホワイトビネガー(醸造酢)
ホワイトビネガーはとうもろこしなどの穀物を原料として作られ、アルコールからできた醸造酢です。重曹ほどの殺菌力はないものの、マウスピースを清潔に保つだけの洗浄力を持っています。
洗浄方法は小さなお皿にホワイトビネガーと温かい水を1:1の割合で入れ、マウスピースを20分間浸けます。その後、柔らかい歯ブラシで優しく磨き、冷水で十分に洗い流します。最後にもう一度ホワイトビネガーに20分間浸けて完了です。
注意点として、ホワイトビネガーは強い臭いを持つため、マウスピースに臭いが移る可能性があります。使い捨てのお皿を使用すると臭いを抑えられるので、ぜひ試してみてください。
カスティールソープ
カスティールソープは、毒性の低い洗浄剤として知られています。オリーブオイル液とココナッツ石鹸を使って自作することもできますが、インターネットなどでも購入できます。
洗浄方法は、少量の温水にカスティールソープを溶かし、柔らかい歯ブラシで優しく磨きながらマウスピースを浸けます。2〜3分程度浸けた後は冷水で十分にすすぎ、歯に装着するか水に浸けて保管します。
マウスピースの保管方法
マウスピースを適切に保管する場合、以下の方法がおすすめです。
清潔な状態で保管する
専用のケースや袋に保管する
風通しのよい場所で保管する
温度や環境に注意する
保管期間を守る
ここでは、上記の保管方法について詳しく解説しますので、マウスピースの劣化を防ぎたい方はぜひご覧ください。
清潔な状態で保管する
マウスピースを装着しない時は、洗浄後に十分乾かしてケースで保管することが大切です。水分が残ったまま通気性の悪い場所で保管すると、洗浄しても雑菌が繁殖しやすくなるので注意が必要です。
また、ケースを使わずに剥き出しの状態での保管も避けましょう。ホコリで不衛生になってしまうほか、誤って捨ててしまうといったリスクがあるからです。
普段の手入れや保管を怠ると雑菌が繁殖し、着色や悪臭の原因となるほか、カビの発生にもつながります。不衛生な状態でマウスピースを装着し続けると、口内で細菌が繁殖し虫歯や歯周病の発生につながりかねません。
万が一虫歯や歯周病になってしまった場合、矯正を一時中断して治療に専念しなければならず、矯正期間が長引くおそれがあります。マウスピースを清潔に保ち、正しく保管することで矯正治療をスムーズに進められるでしょう。
専用のケースや袋に保管する
マウスピースは、食事や歯磨きの際に外して専用ケースに収納することが重要です。ケースは、紛失や破損を防ぐだけでなく、菌や汚れからマウスピースを守るといった衛生的な役割も果たします。
食事中に使うケースと洗浄後の保管用ケースは、別々に用意するのがおすすめです。最近は、さまざまなデザインのケースが登場しているので、自分のスタイルに合ったものを選ぶとよいでしょう。
ケースに入れて保管することで、変形や破損、紛失のリスクを大幅に下げられます。とくに、室内でペットを飼っている方におすすめです。犬にマウスピースをかじられて破損したという事例もあるので、保管場所には十分に気をつけるようにしましょう。
風通しのよい場所で保管する
マウスピースを保管する際は、風通しのよい場所を選ぶようにしましょう。風通しの悪い場所に保管してしまうと湿気がこもりやすくなり、乾燥までに時間がかかってしまいます。また、カビや雑菌の繁殖が進んでしまうリスクもあるため注意が必要です。
洗浄後に乾燥しやすくするためには、通気性を確保した部屋に保管して衛生的な状態を保つことが大切です。
温度や環境に注意する
マウスピースを保管する場所を選ぶ際は、温度や周囲の環境に注意する必要があります。直射日光が当たる場所や高温になりやすい場所に保管すると、マウスピースが変形しやすくなり歯の形状に合わなくなるほか、劣化が進みやすくなる可能性があります。
保管する際は、冷暗所や冷蔵庫といった涼しい場所を選びましょう。涼しい場所に保管することで変形のリスクを抑えられるほか、カビや雑菌の繁殖を防ぐ効果が得られます。歯を健康的に保ちながら歯並びを矯正するためにも、保管場所に気をつけましょう。
保管期間を守る
新品のマウスピースに交換した後は、古いマウスピースを捨てた方がよいのかと思う方もいるでしょう。しかし、マウスピースを交換した後も30日程度は保管することをおすすめします。
理由として、新品のマウスピースが破損や変形など何らかのトラブルが起きた際に、予備として利用できるためです。30日程度保管しておくと、万が一の事態にも対処しやすくなります。保管する際は先述した通り、保管場所の温度や環境に注意しながら涼しい場所を選びましょう。
マウスピースが汚れる原因
マウスピースが汚れる主な原因には、食事やタバコ、唾液が挙げられます。食後の歯磨きを怠ると食べ残しがマウスピースに付着し、細菌の温床となって虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、マウスピースを装着する前の歯磨きは必ず行いましょう。
また、コーヒーや赤ワインなどの色の濃い飲み物は、マウスピースを着色させる大きな要因となります。ストローを使っても飲み物が口内に広がるため、摂取を控えめにするか飲用後の歯磨きを心掛けるとよいでしょう。
喫煙者の場合、ニコチンやタールによる変色や、マウスピース素材への悪影響が懸念されます。そのため、マウスピースを装着したままの喫煙は極力避けましょう。
マウスピースを装着している間、唾液に含まれるミネラルがマウスピースの表面に蓄積されやすくなります。ミネラルは歯石となって白濁や異臭の原因となるため、こまめに手入れを行ってトラブルを未然に防ぐことが大切です。
マウスピースを着用している間は唾液の自浄作用が得られず、歯垢や歯石が付着しやすい状態となります。手入れを怠ってしまうと白い汚れがこびりつき、口内環境の悪化を招きかねません。
保管方法も重要なポイントです。湿度が高く通気性の悪い場所は、カビや細菌の発生を招くため避けるべきです。使用後は速やかに洗浄・乾燥を行い、ケースに収納して清潔に保つようにしましょう。
マウスピースは矯正治療に欠かせませんが、正しい方法で手入れをしなくては、効果を十分に発揮できません。日々の丁寧なケアを習慣づけて清潔に保つことで、矯正治療をスムーズに進められるでしょう。
マウスピースの寿命
マウスピースは時間の経過とともに、すり減りや穴、変形などのトラブルが発生することがあります。歯科医院で診療を受けて修理することも可能ですが、大幅な修復が必要な場合は新しいマウスピースの作成を検討するべきでしょう。
マウスピースの寿命は個人差や使用頻度によって異なりますが、一般的には約1年と言われています。とくにソフトタイプのマウスピースは穴が開きやすい傾向があるため、ハードタイプへの変更を考えることも必要です。
そのほか、定期的に歯科医院で診療を受けることも重要です。予約をして来院し、歯科医師や歯科衛生士にマウスピースの状態をチェックしてもらい、穴が開いていないかなどの確認をしてもらうとよいでしょう。
トラブルが発生した場合は早めに歯科医院に相談し、適切な対処を受けることが大切です。歯科医師とのコミュニケーションを大切にし、自分に合ったマウスピースを作成することで、マウスピースを長持ちさせられるようになります。
トラブルが発生した際は、マウスピースの状態を見極めて修理か新品への交換かを判断しましょう。
マウスピース矯正の選び方
マウスピース矯正を行う場合、治療方法などを選ぶ必要があります。しかし、どのような点を重視して選ぶべきかわからない方もいるでしょう。
ここでは、マウスピース矯正での選び方を詳しく解説します。自分が重視する部分を明確にすることで納得のいく治療へとつなげられるので、以下の解説を詳しく見ていきましょう。
部分矯正・全顎矯正かを選択する
マウスピース矯正では「部分矯正」と「全顎矯正」の2種類があります。それぞれ矯正の範囲や治療方法が異なるので、以下で詳しく解説します。
部分矯正
部分矯正は、前歯の乱れを整える治療方法です。出っ歯や八重歯に悩む方にとくに有効で、全顎矯正と比べて短期間で治療できるほか、費用も抑えられます。
過去に矯正治療を行ったものの、後戻りが発生してしまった方も部分矯正が利用できます。メーカーによっては、全顎矯正と部分矯正の両方を取り扱っているケースもあるため、医師と相談したうえで利用を検討するとよいでしょう。
全顎矯正
全顎矯正は、奥歯を含めた口全体の矯正治療です。歯並びの症状が軽度から重度の方まで対応でき、抜歯やアタッチメントを使用して歯を動かすことが可能です。部分矯正では難しい奥歯を含めた矯正を希望する方に適しています。
一方、前歯のみの矯正は、前歯のわずかな乱れを気にする方に適していますが、全体の歯並びが気になる場合は全顎矯正を選ぶ方がよいでしょう。不正咬合の程度が重い場合や、歯が並ぶスペースが不足している場合、奥歯まで動かす全顎矯正が必要です。
このように、治療の選択は歯並びの状態によって異なり、適切な方法を選ぶことで効果的な矯正が実現できるでしょう。
費用・治療期間で選択する
マウスピース矯正はクリニックによって治療期間や費用が異なります。利用を検討する際は、予算や矯正期間をどのくらい設けられるかを考える必要があるでしょう。
一般的に全顎矯正によるマウスピース矯正の場合、治療期間は2〜2年半程度がほとんどで、ワイヤー矯正と比較しても長くなっています。一方で、来院回数は3〜4か月に1回程度と、月1回の来院が必要なワイヤー矯正よりも少ない頻度での利用が可能です。
費用面では、部分矯正の場合は10〜40万円程度、全顎矯正の場合は60〜100万円程度の範囲となります。注意点として、矯正治療が完了した後に後戻りが見られた場合、追加で費用を支払って治療するケースもあります。
これらの点を踏まえて、費用面と治療期間を想定してマウスピース矯正を行うか検討しましょう。
ゴールを決める
マウスピース矯正を行う場合、治療後のゴールを設定することも大切です。最終的にどの程度の歯並びにしたいかを事前に決めると、治療中のモチベーション維持にもつながるでしょう。
マウスピース矯正におけるゴールには、以下のようなものがあります。
抜歯せずに、気になる部分だけ矯正する
噛み合わせを直す
短期間で前歯部分をメインに矯正する
できるだけ費用を抑えて気になる部分だけを矯正する
時間をかけて歯全体の歯並びを治す
矯正治療を始める前に、検査機器を用いて治療後の歯並びをシミュレーションできるケースもあるため、理想とする歯並びを把握したうえで治療へと進みましょう。
こちらの記事では、歯列矯正の費用相場や治療期間について解説しています。不正咬合の種類や歯列矯正のメリット・デメリットにも触れているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
マウスピースによる歯列矯正では、1日20時間程度装着する必要があるため、毎日清潔に保つ必要があります。マウスピースに付着した汚れを放置すると、細菌が歯や歯ぐきに付着して、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。
歯を健康的に保つためにもマウスピースの洗浄は不可欠で、ぬるま湯での洗浄やマウスピース専用の洗浄剤の使用が有効です。また、口臭予防にもつながることから、使用後はできるだけ早く清潔な状態にし、風通しのよい場所で乾燥させるようにしましょう。
T-A-LINEでは、他院よりもリーズナブルな価格でマウスピース矯正が利用できます。また、治療期間も最長で1年程度と短期間での矯正を実現できますので、できるだけ時間をかけずに歯並びを直したい方は、ぜひT-A-LINEをご利用ください。